Weekly_Sayonara_Sunday’s diary

週刊さよならサンデー。タイトルは少年誌四天王のパクりじゃなくてオマージュ。週刊とは名ばかりで書きたい時に随時更新。次回の先生の作品にご期待ください!

2015年10月7日

家主の妹からメール。旦那さんがご飯を作ったし良かったら食べに来てとのこと。旦那さんとも友達だけど会うの久しぶりだし、旦那さん作の美味しいご飯食べたいし、純粋に会って話したいし。ご飯を食べに行くつもりであのマンションに戻った。
ドアを開けてすぐ妹が駆け寄ってきてった。妹がこんな出迎えするなんて珍しいんだけど「今日がお通夜で明日がお葬式。お葬式は家族だけだけど、お通夜には出られるかもしれん」とのこと。マジか。ご飯だけと思ってアホみたいに眩しい色柄のパーカー着て来たぞ。急遽、これまでも良くして下さってる妹や赤ちゃんのお世話に来ていた家主のお母さんのパーカーを借りることに。そしてお母さんが私のアホみたいに眩しいパーカーを着ることに。申し訳ない。
一旦ご迷惑ではと危ぶまれたけど最期の4人でお通夜に向かわせて頂けることになった。
私たちとは別で大学時代の友達の方々、それから幼馴染みの方々と高校時代の恩師がいらして途中で合流しちょっとした同窓会のようになってた。友人が「急に言ってこんだけの人数が集まるってアイツほんまに愛されてるな」って。

暗い自動車道を突っ切り真っ暗な山道へ。行ったことの無い場所で真っ暗で景色なんてまともに見えないけど慣れ親しんだ私の祖母の家の風景に似てるって物凄く感じた。くねくねの山道。土の匂い。プラネタリウムかってくらい星だらけの夜空。少なすぎる街灯。段々になってる集落。夜もよく吠える室外犬。ここで彼は育ったのかと…かつて私と彼とで 田舎あるある を話したことを しみじみ思い出した。

小グループずつお家に入れて頂き、彼の顔を見てお線香をあげて、私たちとは最期に一緒にいたということで親御さんがお話したいと申し出て下さった。
ふざけてるのかと思うような半裸は見たけど、顔を見るのは彼が部屋を出ていった時ぶり。その顔があまりにも見慣れた寝顔そのもの過ぎて、私たちを驚かせようと いつ起き上がるかタイミングを見計らって寝息を殺してるようにしか見えなくて。遺体を目の前にしてなお死んだことが信じられなくて。
私の順番が来て枕元に座りじっと見つめるけど、あの うるさかったイビキや寝息が聞こえなくて。ああ違うんだなって。そして今はまだ目の前の彼は彼の形をしているけど、明日には骨になって次に眠るのは布団じゃないんだって思って これがお別れかっていうのが静かすぎる彼の寝顔を見てやっと理解できた。途端、涙が溢れてきた。やっと 死 が お別れ が 悲しい がリアルになった。そこから暫くおよそ40時間分の涙が出続けた。

私がそれまで一番悲しんでたことである喧嘩状態になってしまった別れ際。遺体の顔を見て安らかな気持ちで永眠できたんだなと思えて私自身が安心できて、そこでも涙が出てきた。帰り道で500のペットボトルのお茶2本と缶ジュース1本を摂取するくらい目と鼻から水分が漏れ続けて喉が乾いた。

お家の付近まで行く際、近くの開けた公園で極力ご迷惑にならないよう車の台数を絞って そこからお家までの短い道中を別の車で来た人たちと相席させてもらった。行きは学生時代のアルバムを見せてもらい今よりは若々しいけど今と全くイメージの変わらない彼の写真を拝見し、帰りは酔った彼の失敗談などを披露しあって故人を偲んで大笑いしてた。知らない場所で知らない人と過ごしてたエピソードなのにあまりに鮮明にイメージが湧いてきて。しつこいけど、やっぱり彼は いつ何処に誰といても彼だったんだなと。

親御さんに「友達の多い賑やかな子でした。楽しくして下さって有難うございました」「これは息子の運命だから自分を責めたりせず、これからも前を向いて下さい。それが息子が望むことです」「時々は息子のことを思い出してやって下さい」と声をかけて頂いた。
彼のイメージとは少し違う物静かで穏やかで優しそうなご両親だった。彼の好きな物と言えば…で3つ挙げるとしたら必ず出てくると言える お酒、実家では殆ど飲んでなかったらしくご両親はこの件を通して初めて酒飲みだったことを知ったそうで、そのことが驚きだった。驚きはしたけど、自分に合わせさせるのではなく親御さんに合わせて控えるってのも彼らしいなと。

亡くなって なお、無限に出てくるエピソードでこんなにも笑わせてくれて。本人もやり残したことが山のようにあるだろうし、私たちも一緒にしたかったことが山のようにあって。
余計なお世話だろうけど、次はもっと自分を自分の為につかえる人になって欲しいです。優しさと、剽軽さと、他人の痛みを推し量れる繊細さと、アクティブすぎる行動力と、大事な人たち惜しみ無く注ぐことの出来る情の厚さ。貴方の大好きなトコはそのままで、また新しい貴方で会いに来て下さい。
みんなの笑顔のためにお疲れ様でした。そして今はどうか穏やかに休んで下さい。約5年、短いか長いか微妙だけどとにかく濃い時間を本当に有難うございました。